磁力復帰型瞬間解放式単発輪ゴム銃

dungeon-master2008-12-20

以前メモした磁力復帰型を作ってみました。
ホールドフックの復帰に、バネやゴムの代わりとしてネオジム磁石を使っているのが特徴。


一般的な瞬間解放式ではホールドフックの復帰にバネやゴムを使いますが、そのテンションの調整はなかなか難しいものがあります。
テンションが強いとトリガープルが重くなったり、発射時のフックの倒れ方が十分でない状態でリリースされてしまったりして、正確な射撃を阻害します。
逆にテンションが弱すぎるとホールドフックが正常に復帰できない状態を起こすことがあり、危険です。
微妙に復帰しきれていない状態で止まってしまう時が厄介で、見た目は復帰しているのにそのまま弾を装填して暴発ということもあります。

ホールドフックの戻しにゴムやバネを使うと、リリースポイント付近がホールドフックを戻そうとする力の一番強い場所となります。
そして、ホールドフックが弾を装填できる位置に復帰するあたりで、ホールドフックを戻そうとする力が非常に弱くなります。
ここには通常、ホールドフックをロックするためのストッパーや爪などの機構があって、最後の難関です。
ゴムやバネの場合では、このあたりが引きが十分でないと、復帰不全を起こしやすいわけです。


では、バネやゴムの代わりに磁石をつかってみるとどうなるか考えて見ましょう。

輪ゴムや引きバネの縮もうとする力はより伸ばすと強くなりますが、磁力は近づくほど強く離れるほど弱くなりますので、発射直前のリリースポイント付近でその力が一番弱くなります。
また、ホールドフックが弾を装填できる位置に復帰するあたりは非常に強力な引戻しが働きますので、難関をものともせず復帰します。


今回の基本機構は、ホールドフックとリンクするビームがあり、ビームの先端の爪がボディのストッパーに引っかかって保持する仕組み。
引きしろは指をかける位置で3mm程度、ほとんど遊びがありません。
内部構造


トリガー後部で爪を押し上げてストッパーからずらしていくと、爪が外れて弾ゴムの張力によりホールドフックが回転し、発射。
弾を発射した後は、磁力によってビームが引き戻されていき、爪がストッパーを乗り越えます。
(ストッパーは左ボディパーツに付いていますので上の写真では見えませんが、トリガーのすぐ後ろにあります。)
更に、磁石どうしが一番強く引き合う位置に動いて爪がストッパーとかみ合います。このときトリガーが押し戻されて、復帰完了。



この仕組みによりトリガースプリングが省略でき、磁石の使用箇所はビームの引き部分だけとなっています。



本作品ではネオジム磁石2個を使っています。ネオジム1個+鉄片ではないのは、ビームのホームポジションを一定にするためです。
同じ形状の磁石どうしをくっつけたとき、ぴったり位置を合わせたあたりで一番強く引き合うのでポジションが定まります。
磁石+鉄片だとピークが緩いのでポジションが定まらず、爪とストッパーがかみ合わない状態で張り付いてしまう可能性があります。
そうなると、輪ゴムを装填したとたん、磁力が張力に負けて暴発です。
発射時はトリガーによってピークになっているポジションから磁石をずらす動作が含まれるため、磁石を引き離すことが容易になります。
ネオジム磁石2個の引きはとても強力で、リリースポイントから動いたホールドフックが復帰しないことはまずありませんが、距離の2乗に反比例して磁力が急激に弱くなるのでビームの可動範囲はあまり長くできません。
実際、ホールドフックを手動でリリースポイントに持ってくると、かろうじて力を感じる程度の引き戻しです。
ただし、復帰不全が起こるとしてもリリースポイント付近にホールドフックがあるはずなので、誤って弾を装填する事故は防ぎやすいでしょう。


メンテナンス用に、分解した状態


【磁力復帰型瞬間解放式単発輪ゴム銃】
素材:アガチス、杉、桧、松、コルク、ゼムクリップNo.00、ネオジム磁石
全長288mm、銃身長230mm