ストリングリリースのセミオート輪ゴム銃「クナイメル」

dungeon-master2008-11-30

輪ゴム銃でストリングリリースといえば、紐の使い方はどうあれサブマシンガンタイプの連発銃が定番となっています。というか、ストリングリリースというのは手軽に連発機構を造る為の手段ともいえるわけで、わざわざ単発にする必要がありません。
では、セミオートはどうでしょう。これがまた、私の知る限り皆無です。
セミオートの方法ならストリングリリースより適した方法があるので、これもわざわざ作ることもないというのが主な理由でしょう。
まあ、リリーサーである紐(タコ糸など)を引いて輪ゴムを強制的にホールドから外す仕組みであるために、1発ずつの発射をコントロールするのが難しい、という面もあります。


しかし、ないのなら(必要であるかはともかく)作ってみよう!というのがアマノジャク。
そんな理由できたのが、写真のストリングリリース方式6連射セミオート輪ゴム銃「クナイメル」です。
紐の巻取り部分で制御するのは非常に難しいので、リリースのために手動で紐を引く部分と、引き終わった紐を自動で巻き取る部分に機構を分離することで対応しています。
これによって、動作の要である「1発発射できる長さだけ、確実にリリーサーを引く」ができます。


ホールド部とリリーサーを引っ張るシア後端部。6発装填状態。

輪ゴムは切れ込みの入った扁平なホールド部を回り込むように掛かっています。
リリーサー(黒い紐)は、切れ込みを左右に往復しながら、1発ずつゴムを引っ掛けるようにして仕込まれます。
1発装填したら切れ込み部の右から左へリリーサーを渡し、また一発装填したら、今度は左から右へリリーサーを渡します。
シアはトリガーの引きにあわせてスライドするようになっており、後端はリリーサーを通す溝になっています。
リリースのために紐を引くという動作はこの部分が担当。


ストリング巻取り部

こちらは、巻取りの担当。
セリアで売っていた巻取り式キーホルダーの本体を分解し、巻取り部分を取り出して使いました。
(最初、本体は分解しないでそのまま取り付ける予定でしたが、紐の先端を加工しているときに手が滑って紐が全部本体の中に巻き込まれてどうにもならなくなってしまったので、仕方なく分解)


トリガー内部

トリガーはシアとあわせてスライドする構造ですが、シアとの連結部は少しだけ回転します。
根元にある溝のところで、トリガーを引こうと力を入れたときにストリングを挟み込んでロックし、巻取り部から必要以上にストリングが引き出されるのを防ぎます。この部分が緩むと、弛んでいた紐が巻取り部の方に引き込まれます。



撃ってみます。
1、トリガーを引く前。
2、トリガーを引いたところ。シアがストリングを引いて輪ゴムをホールドからリリース。
3、トリガーを戻したところ。引き上げられたストリングの余った部分は、巻取り部が片付けてくれます。
4、もう一発発射。


この銃のアイデア(手動で引いて、自動で巻き取る)はストリングリリース方式ガトリングのゴールドラッシュを作っていたときに浮かんだものですが、ホールド部分の形状を検討するのにだいぶ時間を要してしまいました。
ストリングを左右に渡して交互にリリースするのは「ショートテール」のネタを思いついたときとほぼ同時だったため、試作では輪ゴムもボディ両側左右から交互に掛けていて、どうしても紐用の溝に輪ゴムがはまり込んで発射不能になっていました。
溝にはまり込むのは、輪ゴムの向きと溝の方向が同じだからで、これを解決したのが今回のホールド部。
溝の方向と輪ゴムの張力の方向を90度の位置関係にしたわけです。
それによって、うまい具合にすべての輪ゴムを上から持ってくることができたので、本体はストリングリリース機構が仕込まれているとは思えないくらいスリム(全幅16mm)です。


ストリングリリース方式でセミオートするメリットはどうかというと、残念ながら特にありません。
密集状態でホールドするわりには装弾数が増えるわけでもありませんし、装弾も紐が絡まったりしてかなり面倒です。
今回採用した方式では、ホールド部の大きさとストリングの巻取り長で装填弾数がだいたい決まりますが、ホールド部を大きくすると一発分のストリング巻取り長が増えてしまいますし、むやみに巻取り長を伸ばしても、巻取り部分が大きくなってパワーを持つようになり、暴発の可能性が高くなってしまいます。
ただ、扁平にしたことでゴムが滑りにくくなり、片掛けした状態が発射時まで継続する効果があるようです。命中精度は意外に悪くありません。


名称のクナイメルですが、アイヌ語で「黒い稲妻」(連射時に、黒い紐がジグザクに伸びていく様子から)という意味…のつもりだけど、文法的に正しいかどうかは単語を適当にくっつけたので自信ありません。



セミオート輪ゴム銃「クナイメル」
ストリングリリース方式(手動リリース、ゼンマイ巻取り)
素材:杉、桧、松天削割箸、白樺小判割箸、朴、竹、伸縮式キーホルダー(セリア)、ゼムクリップNo.00
装填弾数6発、適合弾:共和オーバンド#16
全長310mm、銃伸長270mm